キューティーハニー

最近、読んでる。

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白状しますが、実は永井豪作品って、今まで殆ど読んだことなかったのです。デビルマンですら。

その最もたる理由は、絵がヘタクソだから。アフタヌーンでパラ見した「デビルマンレディー」で本当そう思って。しかもその上で、海外での評価が高いわけですよ。一昔前、海外の漫画好きイラストレーターが永井豪の名前を出すことは本当多かったと思う。その辺不思議に思いつつ、また別の気にくわないところがあった。

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日本のロックバンド、COCOBATのCDジャケットである。左側はデビューアルバム"Cocobat Crunch"、右側は1996年作"Struggle of Aphrodite"だ。共にデビルマンをモチーフとして、アメリカのイラストレーター、パスヘッドが手がけているのだが、"Struggle of Aphrodite"は見ての通り、永井豪本人とのコラボレーションが実現している。

これはパスヘッドが永井豪を好きであるのみならず、COCOBATというバンドも永井豪を気に入ってるからに他ならないのだが、だからなおさら、永井作品へある種の不信感が芽生えたのだ。COCOBATって当時スポーティーでナウい都会のヘヴィロックバンドの先駆けみたいなもんで、所謂オタク文化系とは対称だったから。スケボーが必ずセットでついてくるような。また、そういう界隈での永井豪の人気もすこぶる高かったし、彼らはBASTARD!のような緻密で妖艶で美しい絵の漫画を「オタク臭い」と否定しといて、永井豪はクールだと持ち上げるような傾向もあって、それでなおさら敬遠するようになっちゃったのもあるんだよね。そういう人たちのための漫画家かと。

しかし時も過ぎて、そういうロックだなんだも過去のものとなりつつあり、今ならまっさらな状態で永井豪と向き合えるかなあと思い、このキューティーハニーを手にとったわけだ。

いや、楽しいね。これは楽しい。こんなにヘタクソなのに。荒削りもいいところなのに。

表現すべきことは、これで間に合ってるってことなんだろうね。これでどうしても絵が気になるようなら、飯坂友佳子、及び佐々木和志が作画を手がけた「キューティーハニーF」を読めということなのだろう。しかし飯坂友佳子だとこの楽しさは出ないだろうね(誤解なきよう、僕は「バトルガール藍」好きです。あくまで適性の話)。

漫画って本来、これでいいんだよと、そして本来はこうであったんだよと、この作品は教えてくれる。Twitter読んでると、なんか常にデティールのこだわり持ち続けてないと漫画描いちゃいけないかのように言われてる気がしてくるんだけど、何も持ってなくとも、創作の衝動さえあれば、表現してみるべきなんだ。そんなポジティブな精神が、90年代のスケートロックバンドは共感出来たのかもしれない。

そして気づいたんだが、近年同人界隈の一部で話題の初期衝動系作家、木持アート出版のルーツも、結局第一に永井豪なのではないか。必要以上にストーリーテリングに囚われることなく、思い思いにキャラクターを活写するあり方は、まさしく永井豪ではないか。

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かく言う僕も、資料がー、デッサンがーと思い込みがあり、自分で中々漫画絵描く気になれないで来たんだけど、その精神で、今更ながらやってみるかな。色々なことを教われる気がするね。このキューティーハニーからは。もちろん他の永井豪作品も読んでいかなければ。